液晶依存からの事業転換を急ぐシャープは、鴻海精密工業との連携を新規事業分野へ広げる。買収から10年の節目に、AIインフラやエネルギー、ロボティクスなどで共同開発の枠組みを明確にし、再建の成長軸を強化する。
ハイライト
- シャープと鴻海は24日、AIインフラやエネルギー分野での協業拡大に向け戦略的覚書を締結、ロボティクスや次世代通信も対象。
- シャープは2027年度参入予定のAIサーバー事業で鴻海の製造・調達力を活用、自社ブランド展開を検討し収益多様化を図る。
- シャープは赤字続く液晶事業からAIサーバー育成へ注力し、鴻海の経営資源取り込みで再建加速と株主説明責任強化を目指す。
AIサーバー軸に協業枠組みを拡充
日本経済新聞によると、シャープと鴻海は24日、AIインフラやエネルギー分野で提携すると発表し、戦略的協業に関する覚書を交わした。対象にはロボティクス、次世代通信技術、スマートシティーも含み、両社は製品やサービスの共同開発を進める方針だ。具体的な事業スキームは公表していないが、シャープが2027年度の参入を表明しているAIサーバー事業では、鴻海の製造力と調達力を活用し、シャープのブランドで展開する案を検討する。これまで両社はスマートフォンの受託製造などで協業してきたが、最近はAIサーバーや電気自動車(EV)など新規事業でも連携を探っている。
大阪市内で開いた締結式では、シャープの河村哲治社長が、両社の関係は「互いのビジョンの実現に向けて歩みを進める共創パートナーへと進化する」と述べた。鴻海の劉揚偉董事長は登壇したが発言はせず、書面で、両社のリソース補完を強化し、シャープの企業価値と鴻海の競争力の向上を期待するとコメントした。
再建加速と株主への説明責任
シャープは、かつて主力だった液晶パネル事業の赤字が続くなか、工場の売却や縮小を進めている。液晶に代わる次の収益の柱としてAIサーバーなどの育成を急いでおり、鴻海の経営資源を取り込むことで立て直しに弾みをつけたい考えだ。シャープは24日に大阪市内で定時株主総会も開き、株主からは鴻海側に今後もシャープとの協力を続ける意思があるのかを問う声が出た。これに対し、鴻海出身でシャープの取締役副会長を務める呉柏勲氏は、シャープが「安心」から「希望」の段階へ進めるよう支援すると応じた。
4月に就任した河村社長は、鴻海との関係について、シャープが一方的に負担を委ねる構図ではなく、ウィンウィンの関係を築く必要があると強調する。今回の提携は、10年間の資本関係を新規事業の成長連携へ移し、家電・電子機器業界での再成長を模索する動きとして位置づけられる。
当サイトの以前の記事では、ソフトバンクがシャープ堺工場跡を活用し、2027年度に国内でAIサーバー製造へ参入する計画を公表した点を整理しました。自社データセンター需要に加えて外販も視野に、GPUを用いた生産体制や周辺のAI計算力クラウド事業を含め、AIインフラの国産化ニーズ取り込みを狙う動きとして位置づけています。
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