キッセイ薬品の血管炎薬タブネオス、承認根拠論文の撤回で安全性審査に影響
血管炎治療薬「タブネオス」を巡り、承認の根拠となった臨床試験論文が6月29日付で撤回され、キッセイ薬品工業の製品評価を巡る精査が強まっている。撤回理由は治験手順の不適切な運用で、国内では既に死亡例や肝障害の報告を受けた注意喚起も実施されている。
ハイライト
- ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンはキッセイ薬品のタブネオス有効性論文を、不適切な治験手順を理由に2024年撤回。
- タブネオスは国内で死亡や肝障害の副作用例が報告され、5月に厚生労働省の指示でブルーレターによる安全性通知が発出済み。
- キッセイ薬品は6月29日、欧州医薬品委員会にタブネオスの製造販売承認取り消しを勧告されており、規制対応への影響が拡大。
論文撤回の経緯と治験手順の問題
日本経済新聞によると、米医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)は、キッセイ薬品工業が製造販売するタブネオスの有効性を示した研究論文を撤回したと発表した。論文は2021年に、開発元の米ケモセントリクス(現米Amgen傘下)や米ペンシルベニア大学の研究者らが公表したもので、著者2人が撤回を申し出たという。米食品医薬品局(FDA)の調査では、この治験で盲検化を終えた後、一部患者について効果を再判定していたことが判明した。NEJMは、こうした操作が論文内で説明されておらず、不適切な研究手順に当たるとして撤回に踏み切っている。
国内販売と規制面への波及
キッセイ薬品はケモセントリクスから、日本でのタブネオスの独占的な開発・販売権を取得して販売している。タブネオスを巡っては、国内で投与後の死亡や肝障害の事例が複数報告されており、5月には厚生労働省の指示を受けて医療機関向けの安全性速報、いわゆるブルーレターを出している。さらにキッセイ薬品は6月29日、欧州医薬品委員会(CHMP)がタブネオスの製造販売承認の取り消しを勧告したと発表している。承認根拠論文の撤回と欧州での勧告が重なったことで、同薬を巡る規制対応や医療現場での使用判断への影響が広がる可能性がある。
当サイトの以前の記事では、イーライリリーの抗がん剤「Jaypirca」が欧州医薬品庁のCHMPから承認に向けた肯定的な勧告を受けたことを背景に、同社の成長期待と株価の強さを整理しました。さらに、買収や新規展開といったパイプライン拡充の動きが、規制面の進展とあわせて市場の評価を押し上げる要因になっている点も取り上げています。
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