医療機器分野の取引慣行に対する監視が強まるなか、公正取引委員会は21日、HOYAに対して下請法違反の再発防止を勧告した。内視鏡部品の製造委託先32社に金型など計643個を無償で保管させていたとされ、医療機器メーカーへの同法関連の勧告は初めてとなる。
ハイライト
- 公正取引委員会はHOYAに対し、2024年7月~2026年4月に32社へ金型643個を無償保管させた下請法違反で勧告を出した。
- HOYAは保管費用請求がなかったことを理由に未払いだったが、調査後に委託先へ約1452万円を支払った。
- 医療機器業界での下請法勧告は初となり、全製造業に金型等の保管負担見直し圧力が強まる可能性がある。
勧告の内容と対象期間
日本経済新聞によると、公正取引委員会の発表によると、HOYAは遅くとも2024年7月から2026年4月まで、長期間発注しないにもかかわらず、内視鏡部品の製造を委託する事業者に金型などを無償で保管させていた。対象は32事業者、保管させていた金型などは計643個にのぼる。
量産が見送られた製品について、試作段階の金型を委託先に預からせていた事例もあった。委託先の一部は保管のために有償で倉庫を借りており、同社は調査に対し、下請け事業者から保管費用の請求がなかったため代金を支払っていなかったと説明したという。
その後、HOYAは委託先に対し、保管費用として計約1452万円を支払った。
医療機器業界の取引慣行への波及
今回の調査は、下請法の調査権限を持つ中小企業庁が担い、2026年6月に公正取引委員会へ勧告を求める措置請求をしていた。医療機器メーカーに対する下請法、または中小受託取引適正化法に基づく勧告は今回が初めてとなる。下請法や取適法は、中小事業者に契約外の金銭や労務を提供させる行為を、不当な経済上の利益の提供要請として禁じている。公正取引委員会と中小企業庁は、金型の無償保管が禁止行為に当たるとして重点調査を進めており、製造業全体で保管負担の見直しが求められる可能性がある。
当社の以前の記事では、公正取引委員会がM&A審査指針の改定案を公表し、競争制限の有無に加えてイノベーション促進や重要物資の安定調達などの政策効果も審査で重視する方向性を整理しました。大企業の案件を中心に、利点が不利益を上回る場合は一定の競争への影響があっても認め得る考え方を示し、今後の企業再編の判断に影響し得る点を取り上げています。
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