生成AIの高度化が金融インフラの脆弱性を突く新たなリスクとして意識されるなか、日本では官民一体で対応策を詰める動きが進む。金融市場への波及や信用不安に直結しかねないため、国内対策にとどまらず国際協調の枠組みづくりが課題になっている。
ハイライト
- 金融庁は24日に日銀、日本取引所グループ、3メガバンクらとAIサイバー脅威対策の官民作業部会設置を決定。
- AnthropicのAIモデル『クロード・ミュトス』がソフトウエア脆弱性検出能力を持つことで、防御・攻撃双方への広範な影響が懸念されている。
- G7やG20でも協議されたAI脅威対応に関し、日本は金融市場防衛のために国際的なルール整備と継続的協調を主導する必要がある。
官民作業部会の設置とリスク認識
日本経済新聞の社説では、金融庁が24日に日銀、日本取引所グループ、3メガバンクの首脳らと協議し、具体策を検討する官民の作業部会を設ける方針を決めたと伝えている。片山さつき金融相は、AIを悪用したサイバー攻撃が直ちに市場への影響や信用不安へ波及しうるとして、足元の危機として警戒感を示している。
金融システムは預金、決済、株式売買などが相互に結びつく社会インフラで、一部の障害が全体へ連鎖する構造を持つ。金融庁はこれまでもサイバーセキュリティー管理の指針を示してきたが、地方金融機関では対応の遅れも指摘されており、新たなAIリスクへの備えを一段と強める必要がある。
問題視されているAnthropicの新型AIモデル「クロード・ミュトス」は、ソフトウエアの脆弱性を高精度で見つけ出す能力を示しているとされる。人間が長年見逃してきた欠陥まで検出しうる水準であれば、防御側にとって有用である一方、攻撃側に悪用された場合の被害は広範なITシステムに及ぶ可能性がある。
国際枠組み整備の必要性
未知の弱点を自動的に突く攻撃が現実味を帯びると、従来の予防策や事後対応だけでは十分に機能しない懸念が強まる。金融機関や当局には、AIを適切に管理すると同時に、脆弱性の早期発見や防御力の強化にAIを活用する体制整備が求められる。こうした対応を進めるうえでは、Anthropicを含む技術提供側との情報共有や技術協力も重要になる。4月中旬のG7、G20の財務相・中央銀行総裁会議でもこの問題は議題に上がっており、日本には金融システムを守る国際的なルール形成を急ぐ役割がある。
新たな脅威はミュトスに限られず、今後も別の高度AIが同様のリスクをもたらす可能性がある。金融分野の安定は国内経済だけでなく世界市場にも直結するため、日本の対応は単発の警戒措置ではなく、継続的な国際協調と監督体制の再構築につなげる必要がある。
当社の以前の記事では、NECがDX支援サービス「BluStellar」の成長目標を引き上げ、Anthropicとの提携を軸に法人向けAI活用を拡大する動きを取り上げました。なかでも、脆弱性検知に強みがあるとされるAnthropicの新型AIモデル「Mytos」の活用が、開発の省人化やセキュリティ強化につながり得る点が焦点でした。
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