経団連、のれん非償却を支持せず FASFの会計見直し論議に対立

経団連、のれん非償却を支持せず FASFの会計見直し論議に対立
のれん会計で対立

M&Aで生じるのれんの会計処理を巡り、日本の経済界で基準見直しへの意見対立が表面化している。FASFは4〜6月の情報募集を踏まえ、7月下旬にも議論の方向性を決める見通しで、企業の買収戦略や利益計上に影響する可能性がある。

ハイライト

  • 経団連はFASFに対してのれん非償却の導入を支持せず、減損のみ処理によるリスク集中を懸念すると表明した。
  • 経済同友会は2025年5月と2026年6月の意見書で非償却導入をFASFに提案し、IFRS適用企業との競争力を重視している。
  • 実務上は償却・非償却論争が企業価値評価や同業との比較、M&A会計指標の国際整合性に大きく影響する見通し。

FASF論議で割れる産業界の見解

日本経済新聞によると、経団連は財務会計基準機構(FASF)が実施した情報募集に対し、M&Aで生じるのれんの非償却導入を支持しないとの意見を示している。のれんは買収額のうち被買収企業の時価純資産を上回る部分を指し、国際会計基準(IFRS)では主に減損損失で処理する一方、日本基準では最長20年の定期償却と減損で処理している。

経団連は、減損のみの処理では損失認識が一時期に集中し、経営や市場への影響が大きくなると主張する。償却によって早期に費用化することがリスク低減につながるとし、のれんの積み上がりが市場の懸念材料となり、M&Aを通じた成長を制約しかねないとも説明している。

これに対し、経済同友会は2025年5月に他の民間団体などと共同で非償却導入をFASFに提案し、2026年6月下旬の意見書でも同じ立場を改めて示している。償却によって利益が押し下げられ、IFRS適用企業との買収競争で不利になるとの見方を示し、IFRS移行の負担が大きいことから日本基準そのものの見直しが必要だとしている。

企業財務と市場比較への波及

実務面では、基準の違いが企業価値評価や同業比較に直結する。東証グロース市場に上場する航空機エンジン部品メーカーAeroEdgeの今西貴士CFOは、償却の考え方にも一定の合理性があるとしつつ、同業他社との比較可能性を踏まえると日本基準は世界に合わせるべきだとの見方を示している。

他の関係団体の見解も割れている。日本公認会計士協会は、取得時のシナジーや超過収益力は時間とともに減ることや、減損認識が遅れやすいことを理由に、非償却化に慎重な姿勢を示した。日本証券アナリスト協会は償却、非償却の双方を支持する意見を出し、組織として立場を一本化しなかった。

FASFが示した論点のうち、償却と非償却の選択制や、のれん償却費の計上区分の変更については支持しないとのコメントが多い。今後の議論の方向性は、日本企業のM&A会計、収益指標の見え方、国際基準との整合性に広く影響しそうだ。

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