JR東海は10月、東海道新幹線に上級座席「Supreme Class」を導入し、高付加価値サービスによる収益力の強化を目指す。物価高でコストが増す一方、運賃制度の制約で上限価格を柔軟に引き上げにくいなか、料金設定の自由度が比較的高い付帯サービスで単価向上を図る。
ハイライト
- JR東海は10月1日運行分から東海道新幹線に個室席『キャビン』を導入し、1日あたり上下計12本程度に設置予定。
- キャビンはICカード・QR解錠、5G Wi-Fi、個室制御タブレット、限定モバイルオーダーなど新機能で価格はスマートEXの方が数百円高い。
- 認可制の運賃上限がある中で、上級座席・追加料金枠組みを活用した顧客単価引き上げがJR東海収益拡大の鍵となる。
個室仕様と発売日程
日本経済新聞によると、JR東海は8日、報道関係者向けに個室席「キャビン」を公開した。キャビンは10号車と7号車に1室ずつ設け、10号車は1人利用向け、7号車はソファを備えた2人利用対応の広めの仕様とする。
扉には電子錠を備え、交通系ICカードやQRコードで解錠できる。座席は腰部分の形状を体格に合わせて調整できるほか、ヘッドレストにはパソコンやスマートフォンと接続できるスピーカーを設置する。
専用Wi-Fiは5Gに対応し、室内のタブレット端末で照明や空調、放送音量の調整が可能だ。タブレットではグリーン車向けのモバイルオーダーも利用でき、Supreme Class限定で沿線地域の日本酒や茶、スムージーも購入できる。
予約は「エクスプレス予約」と「スマートEX」で受け付ける。10月1日の運行分は9月15日に発売し、10月時点では1日あたり上下計12本程度の運行を予定する。7号車を2人で使う場合は同行者にも同じ列車に乗れる乗車券と特急券が必要だが、1人が個室料金を支払えば、もう1人は自由席券でも利用できる仕組みとする。
キャビンの発売価格はスマートEXの方が数百円高く、Supreme Classではキャビンに加えて2027年度中に半個室席「シート」も導入する計画だ。シートは座席の向きを変えて2席を向かい合わせで使える仕様で、10号車に6席設ける予定としている。
運賃制度の制約と収益への効果
新幹線の運賃と自由席特急券は、国の認可がなければ上限価格を引き上げられない。上限価格は適正な原価と適正な利潤を加えた水準を超えられないため、物価上昇でコストが膨らんでも機動的な値上げは難しい。東海道新幹線の利用は堅調で、JR東海は厚い利益を確保している一方、既存の制度下では上限引き上げが進めにくい状況にある。このため、国への届け出で設定できるグリーン料金や座席指定料金と同様の枠組みを活用し、上級座席の導入で客単価を引き上げられるかが注目される。
当サイトの以前の記事では、リニア中央新幹線の静岡工区で静岡県知事が本体工事の着工容認を表明し、唯一の未着工区間が前進する局面に入ったことを報じました。JR東海が年内に本体工事へ着手できれば、品川―名古屋間は最短で2036年開業が視野に入り、約10年続いた事業リスクの解消につながる点も整理しています。
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