日本企業で不正アクセスや個人情報漏洩の事案が相次ぐなか、米調査会社ガートナーは企業のIT環境の緊急点検と経営課題としてのデジタル防衛強化を求めている。AIの活用で攻撃の速度と規模がさらに拡大する可能性があり、公開資産や脆弱性の管理体制を早急に見直す必要がある。
ハイライト
- ガートナーは10月13日、日本企業向けにAI活用のサイバー攻撃急増を踏まえデジタル防衛の最優先強化を提言した。
- 同社は公開資産やソフトウエア脆弱性の即時点検と異常アクセスの監視を緊急対策に位置付けている。
- 7月調査で大手企業の脆弱性管理実施率は30%にとどまり、経営レベルの投資判断や監視体制強化が全業種に課題となっている。
緊急提言の内容と優先対策
日本経済新聞が報じたところによると、ガートナーは10月13日、日本企業への不正アクセスや個人情報漏洩が相次いでいる状況を受け、緊急提言を公表した。企業に対し、IT環境の点検を急ぐとともに、経営者がデジタル防衛を最重要課題の一つに位置付けるべきだとしている。同社は、足元で発生しているサイバー攻撃のすべてで人工知能, AI, が使われているかは不明としつつ、今後はあらゆる攻撃でAI活用が一般化するとみている。従来は人手で数日から数週間を要した攻撃作業も、AIによって数時間から数分で実行可能になるとの見方を示している。
優先策としては、ウェブアプリやクラウドを含むインターネット上の公開資産の緊急点検に加え、ソフトウエアの脆弱性の確認を挙げた。通常と異なるアクセスや大量のデータ取得など、不正アクセスや侵害の兆候がないかを緊急に確認することも求めている。
また、脆弱性診断を外部企業に委託するだけでなく、自律性の高い管理体制の実現に向けて、中長期のロードマップを策定する必要があるとしている。短期の対症療法にとどまらず、継続的な防御能力の内製化が課題になる。
国内企業への影響と管理体制の課題
国内では9月以降、パーク24や物語コーポレーションなどで不正アクセスや情報漏洩の事案が相次いでいる。今回の提言は、個別企業の対応を超えて、日本企業全体のサイバー防衛態勢の再点検を促す内容となっている。ガートナーが7月に実施した調査では、国内大手企業のうち、脆弱性管理を十分に実施できている企業は30%にとどまった。攻撃手法の高度化が進むなか、公開資産の把握、監視体制の整備、経営レベルでの投資判断を一体で進められるかが、情報通信分野を含む幅広い業種のリスク管理に影響しそうだ。
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