経済取引のデジタル化や国際化が進む中で、国税当局は令和7年度も悪質な脱税事案に対する刑事責任の追及を進めています。検察庁への告発件数は82件、告発分の脱税総額は84億円となり、SNS利用事業者や海外取引を悪用した事案も対象となりました。
ハイライト
- 国税庁は令和7年度に82件の悪質脱税を告発し、脱税総額は84億円、1件あたり平均1億200万円に達した。
- 告発対象はSNSインフルエンサー・イラストレーターの所得隠しや、海外法人向け架空輸入を利用した脱税など多様化・国際化している。
- 一審判決80件すべて有罪、うち6人に実刑、脱税指南グループ首謀者に懲役6年と判決が厳格化している。
査察実績と不正手法の広がり
国税庁の公表によると、全国の国税査察官は令和7年度に悪質な脱税者に対する査察調査を実施し、82件を検察庁に告発しました。告発事案に係る脱税総額は84億円、1件当たりの脱税額は1億200万円で、告発率は64.6%となっています。対象となった事案は幅広く、SNSなどのソーシャルメディアを利用して活動していたインフルエンサーやイラストレーターによる法人税や所得税の脱税のほか、日用品の輸入販売会社が海外の不正加担者と通謀し、海外法人向けの架空輸入仕入れを計上して法人税を免れた事案が含まれました。国税庁は、海外に不正資金を隠した事案や、国庫金の詐取ともいえる消費税の不正受還付事案など、悪質性の高い事案を重視しています。
判決状況と税務執行への影響
令和7年度中の一審判決は80件全てで有罪判決が言い渡され、このうち6人に実刑判決が下されています。査察事件単独で最も重い判決は、複数の納税者に脱税スキームを利用させていた脱税指南グループの首謀者に対する懲役6年でした。また、他の犯罪と併合された事案で最も重い判決は懲役4年でした。国税庁は、複雑化、広域化、グローバル化する経済取引に対応しながら、適正で公平な課税と申告納税制度の維持に向け、幅広い業種業態への査察を続ける姿勢を示しています。
当サイトの以前の記事では、公正取引委員会がベイシア電器に対し、エアコン設置工事などを担うフリーランスへの報酬据え置きや手数料控除がフリーランス法違反に当たるとして是正を求めた件を解説しました。資材高騰分が報酬に反映されないまま取引が続いた点が問題視され、追加支払いと再発防止が求められるなど、委託取引の透明性と適正化が重要テーマになっています。
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