高市政権は年末に向け、消費税減税、防衛力強化、AI・半導体を含む成長投資を同時に支える財源の確保を進める。焦点は必要額の大きさだけでなく、赤字国債に過度に頼らず継続的な財源をどう示し、市場の信認を維持できるかにある。
ハイライト
- 高市政権は12月12日会期末までに消費税減税法案成立と財源案提示を目指し、税収見積精度も2027年度までに向上させる方針。
- 食料品消費税率8%→1%引き下げで年4.8兆円、累計9.6兆円の減収、防衛費は2026年度名目GDP比3.5%想定で24兆円規模に拡大が焦点。
- 法人税増税、歳出削減、税優遇廃止などで財源確保を検討するが、恒常的支出に一時的収入を充当すると市場信認低下リスクが指摘される。
年末予算編成で問われる財源の全体像
日経の報道によると、高市早苗首相は29日の経済財政諮問会議で、歳入と歳出の両面から財政の全体像を明らかにする方針を示し、税収見積もりの精度向上を2027年度予算編成に反映するよう片山さつき財務相に指示した。政権は12月12日が会期末の臨時国会で消費税減税法案の早期成立を目指し、その後に財源の具体像を示す構えだ。食料品の消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%に引き下げた場合、年4.8兆円、累計9.6兆円の税収減が見込まれる。これに加え、就業者負担軽減支援金の財源も別途必要になる。
防衛費では、U.S.が同盟国に求める国内総生産比3.5%にいつ、どこまで近づけるかが論点になる。2026年度の名目GDP見通し690兆円を前提にすると、防衛予算は年24兆円規模となり、現時点から13兆円の上積みに相当する。安全保障関連3文書の改定は12月半ば以降になる見込みで、有識者会議の提言も12月上旬にずれ込む方向だ。
成長投資では、AIと半導体を中心に複数年度の資金需要が見込まれる。2027年度概算要求の「強く豊かな日本」投資枠は12兆円超で、戦略17分野では2040年度までに官民計370兆円超の投資を想定する。国の負担は一部にとどまるが、民間資金を呼び込む支援規模と財源は年末にかけて調整する。
市場の信認と家計支援の両立が焦点
財源候補としては、法人税などの増税に加え、継続的な歳出削減、租税特別措置や補助金、基金の見直しが挙がる。片山財務相は9日の記者会見で、赤字国債に頼らずに財源を確保し、年末までの予算編成過程で具体像を示す考えを表明している。政権は「日本版DOGE」として、低い効果にとどまる税優遇の廃止や滞留資金の返納を検討する。外国為替資金特別会計の運用益など剰余金も候補に含まれるが、毎年同額を見込みにくく、為替差益の活用も相場変動の影響を受けやすい。一時的な収入で恒常的な支出を賄えば、翌年度以降の財源不足につながるおそれがあり、裏付けが曖昧なままでは市場の信認を損なう可能性がある。
物価高対策では、政府は財源制約を踏まえて支援策を選別する。電気・ガス料金への支援は2026年12月から2027年2月まで再開し、標準的な家庭で3カ月間に約7000円の負担軽減を見込む一方、ガソリン補助は縮小する方針だ。
この対応には、家計支援を前面に出しつつ支出の見直しを進める狙いがにじむ。もっとも、政府高官は29日、ガソリン補助の基準価格を5円ずつ引き上げる方針を続けるかどうかについて、現時点では未定としており、年末に向けた財源調整はなお流動的だ。
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