企業型DCのマッチング拠出拡充、会社員の節税余地広がる
日経マネー2026年5月号を再構成した記事によると、4月から企業型確定拠出年金(DC)のマッチング拠出制度が使いやすくなり、会社員の資産形成と税負担の圧縮余地が広がっている。企業型DCの加入者は2025年3月末時点で約860万人に達しており、制度変更は勤務先の年金制度を通じた積み立て戦略の見直しにつながりそうだ。企業型DCがある会社員はiDeCoも利用できるが、積み立ての併用はできないため、コストや使い勝手を踏まえた選択が重要になっている。
ハイライト
- 企業型DCのマッチング拠出制度が4月から拡充され、企業と従業員合計で月5万5000円、2027年からは月6万2000円まで拠出可能となる。
- マッチング拠出掛け金は全額所得控除で節税効果が大きくなりつつあるが、制度利用には企業規約改定が必要で導入企業は拡大中。
- 企業型DCは口座管理手数料が無料で低コスト投信の追加も進み、iDeCoと比較してコスト面で有利となるケースが多い。
4月の制度見直しと拠出枠の拡大
企業型DCでは、企業が拠出する掛け金に加え、従業員が自己資金を上乗せする仕組みをマッチング拠出と呼ぶ。これまでは従業員の拠出額が企業拠出額までに制限され、月5万5000円の枠を使い切れないケースが多かった。4月からは企業拠出との合計で月5万5000円まで拠出できるようになり、2027年の拠出分からは枠が月6万2000円に広がる。
マッチング拠出の掛け金はiDeCoと同様に全額所得控除の対象で、節税効果の拡大が見込まれる。ただし、上限まで使うには企業型DCの規約変更が必要で、実際に対応する企業は徐々に増えている段階だ。利用の可否は勤務先の制度設計に左右されるため、加入者は自社の規約確認が出発点となる。
企業型DCは退職金制度として採用企業が増えており、従業員が金融商品を選んで運用する仕組みが広がっている。運用益は非課税で、受給時も退職金や年金の税制優遇の対象となる点はiDeCoと共通する。一方で、原則60歳まで引き出せないため、中長期の老後資金形成を前提に活用する制度といえる。
iDeCoとの選択、コスト面で企業型DCに優位性
確定拠出年金アナリストの大江加代氏は、マッチング拠出が可能であれば、基本的にはそちらを選ぶのがよいとみている。企業型DCは口座管理手数料がかからず、手続きも比較的簡単で、受給時の手数料を会社が負担する場合もあるため、総合的なコスト面で優位になりやすい。従来は運用商品の信託報酬などが弱点とされたが、足元では低コスト投資信託の追加が進み、改善しているという。
国や地域を分散した投資信託を資産の中核に据える場合、商品面でもiDeCoとの差は小さくなっている。ただし、企業型DCのマッチング拠出とiDeCoの積み立ては併用できないため、節税枠だけでなく維持コストや商品ラインアップも含めた比較が必要だ。すでにiDeCoを使っている人でも、積み立てを止めれば口座を残したままマッチング拠出へ切り替えられる。
iDeCo口座を維持しても、積み立てを止めれば口座管理手数料は抑えられる。勤務先でマッチング拠出に対応していない場合は、労働組合などを通じて制度導入を会社に求めることも選択肢になる。制度改正は、企業年金を持つ会社員にとって、NISA以外の税優遇を活用する現実的な手段として注目を集めそうだ。
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