日本政府は裁量労働制の対象拡大を今夏の成長戦略と骨太の方針の柱に位置づけ、制度見直しの検討を急いでいる。企業の柔軟な人員運用への期待がある一方、長時間労働の助長を懸念する労働側との隔たりはなお大きい。
ハイライト
- 政府は2024年夏までに裁量労働制の拡大や対象範囲見直しを成長戦略の主要テーマとして加速する方針を示した。
- 労働市場改革分科会で労使の対立が続き、対象業務拡大や要件緩和を巡る審議は年末までに最終結論を得る見通し。
- 2025年の企業・労働調査で裁量労働を希望する労働者は33%だが、実際の適用割合は専門型1.1%、企画型0.3%にとどまっている。
成長戦略会議で制度見直しを指示
日経が報じたところによると、政府は22日に首相官邸で日本成長戦略会議を開き、高市早苗首相が裁量労働制の拡大に向けて、現場の実態と労使双方の立場を踏まえた検討の加速を指示した。制度の乱用防止を前提に、対象範囲の見直しを進める考えで、首相は心身の健康維持と従業者の選択を前提に柔軟で多様な働き方を実現する必要があると述べている。
高市首相は2025年10月の就任時から、長時間働きたい人が働ける環境整備を進める方針を示している。政府は夏にまとめる経済財政運営と改革の基本方針や成長戦略でも、労働制度改革を主要テーマに据える意向だ。
裁量労働制は、あらかじめ定めた時間を働いたとみなす仕組みで、専門業務型と企画業務型に分かれる。専門型は研究開発や取材編集、弁護士、公認会計士など計20業種が対象で、企画型は事業の企画、立案、調査、分析の4業務が対象となっている。
経団連は対象業務の拡大を求め、鉄道や信号システムの提案といった交渉業務の追加を主張している。加えて、裁量のない業務が一部混在していても適用できるよう要件緩和を訴えている。
労使対立と今後の審議日程
ただ、成長戦略会議の下に設けた労働市場改革分科会では、22日も経営側と労働側の主張は折り合っていない。経団連は適正運用を前提に労働者の満足度が高い働き方になると説明する一方、連合は長時間労働につながりやすく適切な処遇も十分に確保されていないとして対象拡大に反対している。厚生労働省が2025年10〜12月に327社を対象に実施した企業調査では、16.2%が従業員の労働時間を増やしたいと回答した。経団連調査では裁量労働制で働きたいと答えた労働者は33%に上る一方、厚労省の2025年の就労条件総合調査では実際の適用割合は専門型が1.1%、企画型が0.3%にとどまっている。
制度導入には労使の事前協議に加え、対象労働者の個別同意が必要となる。分科会は5月ごろに議論を取りまとめる予定だが、最終的な結論は労働政策審議会の労働条件分科会で年末までに得る見通しだ。厚労省は2024年度の制度改正で追加した銀行・証券会社のM&A業務や健康確保措置強化の影響も調べ、今後の審議に反映させる。
首相は同日の会議で、変形労働時間制の見直しについても検討加速を指示している。日本商工会議所は突発業務への対応を可能にする計画変更の容認や、労使合意までの期間短縮を求めており、厚労省は中小企業向け相談窓口の設置や、時間外労働を月45時間以内に抑える一律指導の緩和も進める方針だ。
当サイトの前回の記事では、自民党参院が憲法改正の実現を後押しする議員連盟を立ち上げ、少数与党下で高市早苗首相の政権運営に対する参院側の発言力が強まっている点を整理しました。改憲論議に加え、予算案や重要法案の成立でも参院の結束や他党との協力が鍵となり、首相にとって国会運営の難易度が増している状況が浮き彫りになっています。
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