日本で医療保険制度の持続性向上を狙う健康保険法などの改正案が成立し、OTC類似薬を使う患者への追加負担が2027年3月から導入される。医療費削減効果は約900億円とされる一方、医療保険料の抑制効果は1人あたり年400円にとどまり、現役世代の負担軽減策としては踏み込み不足が残る。
ハイライト
- 医療用医薬品約1100品目のOTC類似薬に対し、薬剤費の4分の1追加負担が2024年の制度改正で導入される。
- 対象品目を限定した結果、現役世代の保険料抑制や医療費削減効果は日本維新の会提案の1兆円削減案に比べ小幅となる。
- 後期高齢者医療制度で株式配当等の金融所得データ把握が加速されるが、保険料への反映には今後4〜5年を要する見通し。
OTC類似薬見直しの制度内容
日経によると、追加負担の対象は抗アレルギー薬、解熱鎮痛剤、湿布薬など約1100品目で、現在は原則3割の患者負担に加え、施行後は対象薬の薬剤費の4分の1が上乗せされる。残る薬剤費にも3割負担がかかる仕組みとなり、保険適用は維持しながら患者負担を引き上げる内容だ。
ただ、対象品目を大きく絞り込んだため、改革の効果は限定的となる。日本維新の会が自民党との連立に際して求めたのは、医療用医薬品約2万品目のうち約7000品目を保険適用から外し、医療費を1兆円削減する案だったが、今回の制度改正はそれに比べて小幅にとどまる。
保険適用から外す範囲を広げれば、薬を受け取るためだけの受診を減らし、再診料や処方箋料を含む診療報酬の抑制にもつながる余地がある。一方で、今回の改正では高校生年代までの子どもや難病などで継続的に薬を使う患者について、負担増を求めない措置も盛り込んでいる。
高齢者負担見直しの次の論点
制度改革の焦点は、高齢者の保険料や窓口負担割合の判定に金融所得や保有資産の状況をどう反映させるかにも移っている。今回の改正では、株式配当の情報を後期高齢者医療制度の保険者が速やかに把握できるようにする規定を設けるが、実際に保険料などへ反映するまでには4〜5年の準備期間を見込む。高齢者の窓口負担割合を原則3割へ引き上げる議論も今後の主要課題となる。現在は69歳までが原則3割、70〜74歳が2割、75歳以上が1割となっており、年齢基準中心の仕組みを改め、負担は原則3割としたうえで高額療養費制度で上限を設ける考え方への転換が、制度の持続性と世代間の負担均衡の両面で問われている。
当サイトの以前の記事では、中東情勢の緊迫化を背景に食品・飲料の値上げが6月に1,078品目へ急増する見通しを取り上げました。ナフサ供給の逼迫が包装用プラスチックなどのコストを押し上げ、日常消費に近い分野で価格転嫁が広がっている点を整理しています。通年でも値上げが1万品目を超える可能性があり、家計への負担感が強まる局面です。
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