大阪市を廃止して特別区を設ける大阪都構想が再び動き出し、大阪府議会と大阪市議会は制度案を練る法定協議会の設置を議決した。過去に二度住民投票で否決された経緯があるなか、来春の知事選と市長選に合わせた再度の住民投票をめざす進め方には、拙速さや手続き面の課題が残る。
ハイライト
- 大阪都構想は2025年春の知事選・市長選と同時に住民投票実施を目指し、短期間で特別区区割り・税財源制度設計を急ぐ方針。
- 大阪維新の会は副首都構想・住民投票対象拡大を提案し、税収配分の変更を市外にも広げ地方自治原則との整合性が市場で注目されている。
- 大阪市内では住民構成変化も見られるが、都構想賛否に根強い異論が残り、制度変更には正面からの説明責任が不可欠となる。
法定協議会設置と再提案の論点
日経によると、今回の枠組みでは特別区の区割りや府市間の税財源の調整を詰め、来春の知事選と市長選と同時に住民投票にかける構想が想定されている。過去の制度案づくりには2〜3年を要しており、短期間での制度設計には慎重な検討が求められる。
大阪都構想は、大阪市に集まる税収を府全体で活用し、成長につなげることを狙う。ただ、府市の一体運営そのものは、大阪維新の会が知事と市長を握る現状でも実質的に進んでいるとの見方があり、大阪市を廃止する必要性を改めて明確に示す必要がある。
また、知事選や市長選との同時投票には、公職選挙法上、住民投票運動に制約が及ぶ問題もある。制度変更の影響が大きいだけに、なぜ今必要なのか、従来案と何が異なるのかを丁寧に説明することが不可欠となる。
副首都論と自治原則への影響
日本維新の会は今回は副首都構想も絡めて論点の違いを打ち出そうとしている。首都直下地震への備えとして首都機能を代替する副首都の議論には一定の意義がある一方、大阪都構想とは性格が異なり、切り分けて議論すべきだという見方が強い。さらに維新は、副首都法案に都構想の住民投票の対象を大阪市民から府民全体へ広げる案を盛り込もうとしている。大阪市の税収配分を府全体に広げる制度変更である以上、市外に賛成論が多いとの見立てが背景にある可能性があるが、自治体再編で影響を受ける住民の意思を尊重してきた地方自治の原則との整合性が問われる。
この15年、大阪市民は選挙では維新を支持しても、都構想には根強い異論を示してきた。一方で市内ではマンション増加や現役世代の比率上昇など住民構成の変化もうかがえ、賛否の前提条件は変わりつつあるが、それでも制度変更は奇策ではなく正面からの説明と手続きによって判断を仰ぐ必要がある。
当サイトの以前の記事では、維新が重視する「副首都」法案を軸に、自民党が連立運営の安定化を意識しつつ追加協議を進めている状況を整理しました。あわせて、都構想の是非を問う住民投票の対象を大阪市民から大阪府全域へ広げる法改正の可能性も俎上にあり、制度設計と手続きの妥当性が論点になっている点を伝えています。
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