HIS、特損と旅行需要の逆風で26年10月期の最終赤字見通しに下方修正
海外旅行需要の回復が想定より鈍いなか、HISは2026年10月期の連結最終損益が10億円の赤字になる見通しを示した。従来は90億円の黒字を見込んでいたが、グアムのホテル関連で約60億円の特別損失を計上するほか、円安や燃油サーチャージ上昇、中東情勢の不安が予約の伸びを抑えている。
ハイライト
- HISは2026年10月期の売上高見通しを3950億円、営業利益を120億円、最終損益を10億円の赤字と下方修正した。
- 60億円の特別損失と原油高・円安・中東不安による新規予約鈍化で、2025年11月〜2026年4月の純利益は前年同期比21%減の30億円となった。
- HISは2030年10月期へ向け4年間で約1000億円を投資し、非旅行部門営業利益比率を4割へ引き上げる中期経営計画を発表した。
業績下方修正と赤字転落の要因
日本経済新聞によると、HISは12日、2026年10月期の売上高見通しを前期比6%増の3950億円へ引き下げ、営業利益は120億円、最終損益は10億円の赤字を見込むと発表した。従来予想は売上高4200億円、営業利益140億円、最終利益90億円だった。
最終赤字に転じる主因は、子会社のグアムリーフホテルが賃借している土地の購入に伴う契約見直しだ。既存の賃貸借契約を解消するため、リース解約に伴う約60億円の特別損失を計上する。
本業面でも、原油高による燃油サーチャージの上昇や円安が新規予約の鈍化につながっている。25年11月から26年4月までの連結決算は、売上高が前年同期比7%増の1931億円だった一方、純利益は21%減の30億円となった。3月と4月には中東不安の影響などでツアーのキャンセルが相次ぎ、売上高に約50億円のマイナス影響が出ている。
同日に都内で開いた説明会で、沢田秀太社長は目標を引き下げる一方で、本業の稼ぐ力として営業利益120億円は確保すると述べている。
30年10月期へ向けた事業再編と収益基盤強化
HISは同日、2030年10月期を最終年度とする4カ年の中期経営計画も公表した。自己資本利益率(ROE)は足元の9%から20%へ、投下資本利益率(ROIC)は7%を目指し、4年間で約1000億円を投じてホテルや新規事業を強化する。事業区分は、日本人向け海外旅行を中心とする「コア」、ホテルなど旅行周辺事業の「ネクストコア」、金融や宇宙関連などの「グロース」に再編する。ホテルや金融など非旅行事業の営業利益構成比は、現在の3割程度から4割へ引き上げる計画だ。
成長投資のうち約400億円はM&Aに充て、ホテル事業を軸に宇宙や金融など新分野の開拓も進める。旅行事業ではAIを活用した変動価格制を導入し、需要に応じた価格最適化と業務効率化を進め、コア事業の従業員1人当たり営業利益を4年間で約2倍に高める方針だ。
もっとも、海外旅行取扱高はコロナ禍前の2019年比で7割程度にとどまり、需要はなお戻り切っていない。株価も低迷が続いており、外部環境に左右されにくい収益構造へ転換できるかが今後の焦点となる。
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