NATO首脳宣言で集団防衛を再確認、トランプ政権に同盟重視への回帰促す
トルコで開かれたNATO首脳会議では、加盟国の集団防衛義務を改めて確認する首脳宣言を採択し、イランの核兵器保有を認めない方針やウクライナ支援の継続でも足並みをそろえている。中国とロシアを巡る安全保障環境が厳しさを増すなか、U.S.のトランプ政権が同盟国との協調路線に戻るかが今後の焦点になる。
ハイライト
- NATO首脳宣言は集団防衛を再確認し、トランプ大統領出席下で同盟の結束を一定程度維持したことを示した。
- 2026年と27年にウクライナへの年間700億ユーロ規模の支援を行うことで加盟国が合意した。
- トランプ氏はウクライナの迎撃ミサイル現地生産を認める意向を示し、防衛産業基盤強化が進展する可能性が浮上した。
NATO宣言が示す同盟再確認
日経によると、8日の首脳宣言では北大西洋条約第5条に基づく集団防衛と、大西洋をまたぐ同盟関係への強い関与を再確認している。トランプ大統領が出席し、かつてNATO脱退の検討に言及した経緯があるなかで、他の加盟国と一定の結束を示した点は重要だ。
NATOの第5条は、1つの加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃とみなす枠組みだ。今回あえてこの原則を確認した背景には、トランプ政権下で生じている米欧同盟の緊張がある。首脳会議に際してトランプ氏はデンマーク領グリーンランドをU.S.領にすべきだとの持論も改めて主張しており、同盟内の不信を完全には払拭していない。
欧州各国への国防費増額要求には、防衛面での自立を促すという意味で一定の合理性がある。首脳宣言にも、欧州加盟国とカナダが欧州防衛でより大きな責任を担う考えが盛り込まれている一方、中小国に従属を迫るような姿勢は同盟の基盤を損ないかねない。
ウクライナ支援と日本への示唆
首脳会議では、2026年と27年にウクライナへ年間700億ユーロ規模の支援を行うことも確認している。トランプ氏はゼレンスキー大統領との会談で、U.S.製防空システム「パトリオット」の迎撃ミサイルについて、ウクライナでのライセンス生産を認める考えも示している。ロシアの侵略を受けるウクライナの防衛力を高める動きは、安全保障関連の生産体制や防衛産業基盤の強化という面でも意味が大きい。ドローン生産などで実績を持つウクライナとの連携を通じ、トランプ氏の対ロシア融和姿勢の修正を促したゼレンスキー氏の対応は、U.S.の同盟国にとっても外交上の示唆を与えている。
一方で、高市早苗首相が首脳会議への出席を見送ったことは、日本にとって機会損失との見方が出る。欧州首脳と中国やロシアを巡る懸念を共有し、協力を深める場として重要性が高かっただけに、日本政府と与野党には首脳外交の日程を踏まえた対応が求められる。
当サイトの以前の記事では、日本がNATO首脳会議を2年連続で欠席し、高市早苗首相が欧州首脳と東アジアの安全保障課題を直接共有する機会を逃した点を整理しました。国会審議の停滞が外交日程に波及した経緯に触れつつ、IP4を通じた日欧の連携強化や、トランプ政権下で予見可能性が低下するなかでの対話の重要性を指摘しています。
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