愛知県警が8月に逮捕した男を巡り、特殊詐欺グループが自宅から電話をかけさせる「テレワーク型」で実行役を運用していた疑いが浮上している。特定の拠点を持たないため一斉摘発が難しく、詐欺組織にとって人員補充やコスト面で有利に働く可能性がある。
ハイライト
- 愛知県警が摘発した特殊詐欺グループはアパートなどの一般住宅で在宅型運営を行い、海外製通信アプリを使い役割分担と遠隔監視を実施。
- 在宅型運営により組織側は摘発リスクやコストを分散、実行役の補充も容易で犯罪組織の壊滅が困難に。
- 全国のニセ警察詐欺被害額は今年8月末までで728億6千万円と前年同期比27.0%増、国内拠点への回帰も指摘されている。
在宅型の運営実態と遠隔管理
日本経済新聞によると、共同通信を引用して、愛知県警が詐欺容疑で逮捕した男は名古屋市南区の住宅街にあるアパートの一室で「かけ子」として活動していたとされる。男にはスマートフォンが提供され、「ニセ警察詐欺」の台本やマニュアルに基づくオンライン研修が行われ、通話には発信元をたどりにくい海外製通信アプリが使われていた。端末には100人以上の被害者との通話履歴が残っていた。このグループでは通信業者役、警察官役、検事役などに役割が分かれ、警察官役だけで男を含め80〜90人がいたとされる。
通信アプリには端末の起動状況や通話内容を遠隔で確認できる機能があり、上位者が実行役を監視していたという。捜査当局は、従来の集中的な「かけ場」とは異なる分散型の運営形態として実態解明を急いでいる。
摘発手法への影響と被害拡大
特殊詐欺の捜査では、電話をかける国内拠点の摘発は2017年の68カ所をピークに減少傾向にある。これまでは東南アジアなど日本の捜査が及びにくい地域へ拠点が移ったとみられ、警察は現地当局と連携して大規模拠点の摘発を進めてきた。今回の在宅型では、組織側が摘発リスクを分散できるうえ、渡航費や拠点維持費も抑えられる。実行役にとっても参加の心理的な障壁が低く、逮捕者が出ても代替要員を確保しやすいとみられるため、捜査当局は組織壊滅が難しくなると警戒している。
全国のニセ警察詐欺の被害額は今年8月末までの暫定値で728億6千万円と、前年同期比27.0%増となっている。捜査幹部は拠点が国内に回帰している可能性があるとみる一方、在宅型は管理が緩い分だけ組織の弱さもあるとして、国外にいるとみられる首魁の摘発を引き続き目指す考えを示している。
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