Oksana Koneva

日本株、AIバブル崩壊リスクで相対優位も、規制強化が関連株の重荷に

日本株、AIバブル崩壊リスクで相対優位も、規制強化が関連株の重荷に
日本株とAIリスク

AI・半導体株の調整が続くなか、エコノミストのエミン・ユルマズ氏はAI相場が終盤に入りつつあるとの見方を示しています。U.S.の規制強化の動きやハイパースケーラーの資金調達リスクが重なれば、世界の資産価格に波及する可能性がある一方、日本株は相対的に下げが小さくなる公算があるとみています。

ハイライト

  • U.S.でのAI規制強化と選挙動向がAI関連株の利益確定売りにつながるリスクが高まっている。
  • ハイパースケーラーの社債依存と隠れ債務膨張により、金融リスク構造が複雑化し、NVIDIAなど主要企業の財務悪化が市場全体に波及する懸念がある。
  • AIバブル崩壊時もディフェンシブ銘柄が多い日本株は相対的に下げが小さく、ヘルスケアや公益セクターへの資金流入が見込まれる。

U.S.選挙とAI規制が左右する相場展開

日経新聞によると、日経マネーの再構成記事によれば、ユルマズ氏はU.S.で「アンチAI」の動きが広がっていると指摘しています。AIによる雇用喪失への不安に加え、電力を大量消費するデータセンター建設が電気料金を押し上げるとの懸念が、有権者の反発を強めているという見立てです。

同氏は、バーニー・サンダース上院議員らがデータセンター新設の一時停止や人工超知能の開発禁止を求める法案を提出するなど、規制強化の政治的圧力が増しているとみています。民主党が中間選挙で勢力を伸ばせば、AI関連株には利益確定売りが広がる可能性があると述べています。

また、AnthropicやOpenAIがAI開発の減速を訴える背景について、中国製の低価格なオープンソースAIを市場から締め出す狙いがある可能性を指摘しています。中国AIを巡るU.S.の規制強化は、米中の主導権争いを一段と強める一方、日本株に資金が向かいやすい環境をつくる可能性もあるとしています。

設備投資と信用リスクが崩壊の引き金に

ユルマズ氏は、現在のAIバブルは「7〜8合目の終盤」にあるとみています。過去のITバブルでは、2000年1月にU.S.長期金利が6.7%でピークを付けた後、約2カ月遅れてナスダック総合指数が天井を打っており、今回も金利と株価になお上昇余地がある可能性があるとしています。

一方で、今回は金融リスクの構造がより複雑だと警戒しています。ハイパースケーラー各社は社債への依存を高めているうえ、未開始のリース契約や購入契約といった将来負担の可能性がある「隠れ債務」も膨らんでいるとしています。

財務面への懸念があるOracleが、データセンター向け電力確保の遅れを理由に不可抗力条項を持ち出した点も、供給制約と契約リスクの表れと位置付けています。NVIDIAについては、データセンター事業者への出資や融資保証の拡大から「AIの中央銀行」とも呼べる存在だとし、同社の財務悪化懸念が強まれば金融市場全体へ波及するリスクが高まるとみています。

今後の焦点は、ハイパースケーラーによる設備投資の継続性です。プロジェクトの延期や縮小が広がれば警戒が必要で、AIバブルが崩壊した場合は幅広い資産価格が下落する可能性があるとしています。その場合でも、ディフェンシブ銘柄を多く含む日本株は相対的に下げが小さく、ヘルスケアや公益セクターが選好されやすいとみています。

当社の以前の記事では、米国で進むAIデータセンター拡大が、高金利による資金調達コストの上昇や建設の遅延、電力制約によって計画の実現性に疑問が生じている点を整理しました。投資家心理の変化に加え、地域住民の反対や規制当局の姿勢も逆風となり、事業者が期限内の完成とコスト管理を両立できるかが焦点だと指摘しています。

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