AI・半導体株の調整が2026年半ば以降も続くなかで、大和証券の木之内栄治氏は、需要の先行きには上向く材料が多いとの見方を示している。米中の投資動向や新世代AI半導体の量産進展が重なり、日本の関連銘柄の業績見通しにも改善余地があるという。
ハイライト
- 中国の半導体・AI投資継続やU.S.中間選挙後の景気対策期待が、日本の半導体関連株の需要回復を引き続き下支え。
- NVIDIAの2026年新AI半導体『Rubin』量産化進展が確認され、性能向上・高価格帯でも堅調な需要見通しが示されている。
- 日本市場では短期調整局面でも、光通信部材・メモリー・製造装置など半導体関連分野に再評価余地が残るとの見解。
需要回復を支える投資環境と製品サイクル
日本経済新聞(Nikkei)によれば、日経マネーに掲載されたインタビューで、木之内氏は2027年の相場に期待する背景として、U.S.中間選挙後の景気対策期待に加え、中国で共産党大会の年に景気が強くなりやすい傾向を挙げている。中国では半導体とAIへの集中投資が続きやすく、半導体輸入の増加が日本の半導体関連株にも追い風になるとみている。木之内氏は、2025年1月の「DeepSeekショック」で広がった、蒸留技術の普及によって巨大データセンター投資が不要になるとの懸念について、その後に見方が変わっていると説明している。2026年4月に公開された「Incompressible Knowledge Probes」と題する論文は、小型モデルに移しにくい知識領域の存在を示唆しており、最先端AIの開発には引き続き大規模投資が必要だとの認識につながっている。
関連企業の動きも需要の底堅さを示している。フジクラはハイパースケーラーからの突発受注を理由に業績予想を上方修正し、キオクシアホールディングスも株主総会で需要に強気の見解を示した。木之内氏は、中国のByteDanceが蒸留回避を社員に指示した点も挙げ、業界全体で高性能モデル開発への投資継続姿勢が強まっているとみている。
製品サイクルの面では、NVIDIAが2026年に投入した新AI半導体「Rubin」の量産立ち上がりが焦点になっている。新モデル投入直後は生産立ち上げの遅れから供給量や収益性が一時的に悪化しやすいが、各種生産統計からは量産体制のめどが立ちつつあると木之内氏はみている。Rubinは前モデルより高価格でも性能向上が大きく、需要は堅調に推移するとの見方だ。
日本の半導体株と長期成長シナリオ
木之内氏は、AIを既存技術の効率改善にとどまる「プロセスイノベーション」ではなく、全く新しい市場を生む「プロダクトイノベーション」と位置付けている。量産車や商用コンピューターの登場と同様、こうした変化は数十年単位の成長相場の起点になりやすく、足元の調整だけで需要拡大の流れが途切れるわけではないとしている。その見方に立てば、日本市場では短期的な株価調整局面でも、光通信部材やメモリー、製造装置など幅広い半導体関連分野に再評価余地が残る。中国の投資拡大とU.S.大手の設備投資継続が重なれば、日本企業の受注環境や業績見通しの改善につながる可能性がある。
さらに木之内氏は、デフレ脱却後に新たな技術革新が起きやすいとの歴史的な傾向にも触れている。日本でも新規イノベーションを受け入れる土台が整いつつあるとし、AIの先に広がる産業テーマが市場の中長期的な支援材料になる可能性を示している。
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