越境ECの拡大で航空便の少額貨物が急増するなか、財務省は主要空港の税関で輸入される全ての少額貨物をX線検査する体制を2030年めどに整える。AIを使った自動検査装置や専用施設の整備を進め、不正薬物や偽ブランド品の密輸、免税制度を悪用した課税逃れの抑止につなげる。
ハイライト
- 財務省は成田空港や関西国際空港などで航空貨物検査センターを設け、2030年までに少額貨物のX線検査を全面自動化する方針。
- 財務省は27年度予算で税関関連として過去最大の1533億円を要求し、そのうち426億円をX線検査装置の増設などに充てる計画。
- 航空貨物の輸入件数は2025年に約2億1134万件と過去最高を記録し、輸入急増による審査体制の遅れから個人向け特例を2028年4月に廃止予定。
主要空港で検査自動化を拡充
日本経済新聞によると、財務省は成田空港や関西国際空港などの税関に「航空貨物検査センター」を設け、搬入からX線検査、不審貨物の仕分けまでの工程を自動化する方針だ。AIで検査画像と輸入時の申告書類を照合し、密輸の疑いがある貨物を選別する仕組みを導入する。現在は、職員が申告書類を確認して不審点を見つけた場合などに限り、手作業でX線検査を実施している。一部空港ではすでにAIを活用した画像検査の実証実験が進んでおり、今後は民間の物流事業者とも連携し、税関が体制を認定した事業者の施設でのX線検査も認める。検査を通過した貨物は、そのまま配送できるようにする。
27年度予算に向け、財務省は税関関連として過去最大の1533億円を要求している。このうち426億円をX線検査装置の増設などに充てたい考えだ。
輸入急増が税関負担を押し上げ
航空貨物の輸入件数は2025年に約2億1134万件と初めて2億件を超え、財務省によるとその9割を少額貨物が占める。ネット通販を通じた中国や韓国からの輸入が伸び、件数はこの5年で3倍超に増えている。一方で、不正薬物の押収量は2025年に3.2トンとなり、2019年以来6年ぶりに3トンを超えた。食品容器に不正薬物を隠して越境ECを装う事案や、野球選手の偽造ユニホームなど知的財産侵害品の輸入も確認されている。
税関職員数は2025年に1万人あまりと5年前からほぼ横ばいで、輸入急増に審査体制が追いついていない懸念がある。免税を目的に業務用輸入を小口化し、個人用と偽る課税逃れも広がっており、財務省は市場のゆがみを避けるため、2028年4月から個人向けの特例をやめる方針だ。
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