国内アパレル業界では市場の飽和が進み、低価格と販売数量の拡大に依存する成長戦略の見直しが課題になっている。ワールドとTSIホールディングスの来春の経営統合は、国内生産技術や環境対応を軸に収益モデルを再構築できるかが問われる局面となる。
ハイライト
- ワールドとTSIホールディングスが来春統合し、売上高合算で5千億円規模・業界3位となる見通し。
- 円安と原材料高により低価格戦略が限界を迎え、日本製や高付加価値商品の展開が成長の焦点となる。
- 環境対応の重要性が増し、ワールドの古着回収・販売など循環型事業が統合後に拡大余地を有する。
統合後の事業モデル転換
日本経済新聞の社説では、ワールドとTSIホールディングスが来春に経営統合し、合算売上高が5千億円規模となって業界3位に浮上する見込みだと伝えている。価格を抑えるための海外生産と販売数量の拡大だけでは成長の展望を描きにくくなっており、業界再編を進めながら商品価値を高める方向への転換が必要だとしている。アパレル業界では1990年代以降、人件費の安い新興国への生産移管が進み、低価格品を軸とする競争が広がってきた。ワールドも海外生産委託でコストを下げてきたが、日本繊維輸入組合によると、数量ベースでは現在、日本に供給される衣類の99%が輸入品となっている。
一方で、欧州の高級ブランドは岡山のデニムや京都の西陣織など日本の素材や技術に着目している。ワールドは国内9カ所に自社工場を持っており、統合後はTSIもその生産基盤を活用することで、日本製を打ち出した競争力強化が期待される。
原材料高と環境対応の業界課題
足元では世界的な原材料高と円安が進み、値ごろ感を強みとするブランドでも従来戦略の先行きに不透明感が出ている。低価格路線の延長ではなく、新たな付加価値をどう示すかが業界全体の課題になっている。環境対応も商品価値を左右する要素として重みを増している。大量供給と値下げ販売は収益性の悪化に加え、家庭からの廃棄増加にもつながっており、素材の再利用など環境配慮を消費者に伝える取り組みが求められる。
ワールドが進める古着の回収・販売といった循環型事業は、統合後に拡大の余地がある。消費者の選択基準が多様化するなか、新会社には価格や販売量ではなく、技術力と環境対応でブランド力を磨く姿勢が求められる。
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