政府は2029年度に本格導入する所得連動型の新給付制度に向け、2027年度から先行実施する枠組みの事務設計を具体化している。公金受取口座の登録者を申請不要で受給できる仕組みとする一方、財源や事務費を巡る国と地方の負担配分が新たな調整課題になっている。
ハイライト
- 政府は2027年度から年6000億円規模の所得連動給付制度を先行実施し、2029年度に本格導入する方針。
- 給付事務の無申請化や自動算定ツール提供などで自治体負担軽減を図る一方、公金受取口座活用や法整備も視野に入れる。
- 財源と費用負担の具体化が今後の論点となり、地方側は給付金やシステム改修費用全額を国が負担すべきとの意見を強調。
制度設計と導入日程
日本経済新聞によると、国と地方の協議会は10日、所得に連動した新たな給付制度の事務のあり方に関する初会合をオンラインで開き、基本方針に沿った運営の具体像を示した。政府は5日に、中低所得の勤労者を対象に税・社会保険料負担の軽減を図る新制度の導入方針を閣議決定しており、2027年度から2年間は消費減税1%相当分の年6000億円程度を原資に先行実施し、2029年度に本格導入する方針で、秋の臨時国会に法案を提出する考えだ。給付は原則として前年の住民税における所得額に応じて行う。自治体は対象者の抽出、給付額の算定、申請・審査、振り込みを担い、国は負担軽減策として対象者ごとの給付額を自動算定するツールの無償提供を検討するほか、公金受取口座の活用拡大やコールセンター設置、給付額を確認できるサイト整備も進める。
公金受取口座を登録している人は、申請なしで給付できるようにする法整備も視野に入る。これにより、受給意思の確認や申請手続きに伴う自治体の事務負担を抑える狙いがある。
地方財政への影響と反発
政府は給付財源について、国と地方が共同で負担する案も示しているが、具体的な金額や割合は今後詰める。5日に閣議決定した基本方針には、地方財政運営に支障が生じないよう適切に対応すると明記している。ただ、地方側では給付金本体に加え、事務費やシステム改修費まで負担を求められることへの警戒が強い。村岡嗣政山口県知事は10日の会合で、給付金そのものに加えて事務費やシステム改修に要する経費も国の責任で確実に措置してほしいと求めた。ほかにも、事務負担だけでなく財政負担まで求められることに強い懸念がある、国の責任で全額措置すべきだとの意見が出ている。
2029年度の本格導入に必要な恒久財源の規模はまだ決まっていない。システム改修費や事務委託費を含め、国と地方がどのように費用を分担するかが今後の主要論点になる。
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