東京都心3区の中古マンション市場では、築1年以内に成約する短期売買が2026年に入って持ち直しの動きを示しています。足元では成約の広がりが増す一方、売り出し価格には調整の兆しも出ており、市場の過熱局面とは異なる構図がうかがえます。
ハイライト
- 東京都心3区の築1年以内中古マンション成約比率は2026年1〜8月で4.1%となり、2025年通年の1.6%から回復傾向。
- 新規売り出し単価と成約単価の平均乖離率は2026年1〜8月で35.2%と高水準だが、直近7・8月は前年同月比で縮小。
- 2026年7・8月の成約単価は前年同月比で0.9%、4.1%上昇し、新規売り出し単価は3.0%、1.3%下落し価格調整の兆し。
短期売買の回復と取引の広がり
日本経済新聞のコラムでは、国土交通省が2026年9月に公表した新築マンションの短期売買動向を踏まえ、東日本不動産流通機構の成約データを基に東京都心3区の中古マンション市場を分析しています。短期売買は、新築時の登記から1年以内に移転登記された物件を指し、一般に価格上昇率が高い局面で増えやすいとされます。都心3区で築1年以内に成約した物件が、建築年月を確認できる全成約件数に占める割合は、2026年1〜8月で4.1%でした。2025年通年は1.6%と、2024年の6.9%、2023年の3.6%から大きく落ち込んでいましたが、2026年は回復傾向にあります。1〜8月で期間をそろえると、2023年は2.5%、2024年は8.6%、2025年は0.7%で、2026年の持ち直しがより鮮明です。
築1年以内の成約があったマンション棟数も、2026年1〜8月は28棟となりました。2025年通年の15棟から増え、2024年の45棟から落ち込んだ反動もみられます。加えて、築1年以内の成約物件が複数あったマンションの比率は、2026年1〜8月で17.6%と、2025年1〜8月の66.7%から低下しており、一部物件への集中ではなく、より多くのマンションに取引が広がっていることを示しています。
価格調整の兆しと市場の変化
市場の変化を映すのが、売り手の希望価格と実際の成約価格の差です。東日本不動産流通機構の都心3区の月次データによると、新規売り出し単価と成約単価の乖離率は、2025年通年平均で32.7%となり、2024年の22.8%、2023年の14.5%から拡大しました。強気の売り出し価格に買い手が追いつかず、2025年の成約件数減少につながった可能性があります。2026年1〜8月の平均乖離率は35.2%となお高水準ですが、直近の7月と8月は31.6%、23.5%で、前年同月の36.9%、30.3%から縮小しています。成約単価は7月と8月に前年同月比でそれぞれ0.9%、4.1%上昇した一方、新規売り出し単価は3.0%、1.3%下落しました。新規売り出し単価の前年同月比下落は、2021年1月以降で初めてとされ、売り手が実際に売れる価格を意識し始めた可能性があります。
2024年は成約単価と新規売り出し単価がともに上昇し、高値でも買い手がつきやすい局面でした。これに対し2026年は、成約価格がなお上がる一方で売り出し価格が下がる月が出ており、価格下落前に利益を確定しようとする売りが短期売買の回復を支えている可能性があります。都心の中古マンション市場は、再び過熱しているというより、売り手の視点が「いくらで売りたいか」から「いくらなら売れるか」へ移りつつある局面といえそうです。
最新の住宅市場ニュース
- Forex
- Crypto