国税庁、非上場株の相続評価見直し案を提示 事業承継への負担増懸念も

国税庁、非上場株の相続評価見直し案を提示 事業承継への負担増懸念も
非上場株評価見直し案

非上場株の相続税評価を巡る制度見直しが具体化し、企業の純資産と収益力を軸にした新たな算定方法が議論の段階に入っている。高収益で規模の大きい企業では評価額と相続税額の上昇が見込まれる一方、小規模な中小・零細企業では負担が軽くなる可能性がある。

ハイライト

  • 国税庁は非上場株の相続評価を「残余利益方式」へ変更する新ルール案を示し、2028年1月以降の適用を目指す。
  • 新算定方式採用で中小企業は負担軽減が見込まれる一方、収益力・規模の大きい企業は株式評価額・相続税額が上昇する見通し。
  • 新ルール案では会社評価の必要資料が減り、現行の1〜2週間から半日未満で算出可能になるが、大規模企業の税額は2倍になる可能性がある。

新評価方式の内容と導入日程

日本経済新聞によると、国税庁は20日の有識者会議で、非上場株の相続税評価に関する新ルール案を示している。新たな算出方法は「残余利益方式」と呼ばれ、簿価純資産に加えて企業の収益力を反映する仕組みとなる。

現在の非上場株評価は「財産評価基本通達」に基づき、類似業種の上場企業の株価を参考にする方法などが使われている。近年は複数の手法を組み合わせて評価額を圧縮し、税負担を過度に軽減する事例が目立っていた。

会議では、委員から「納税者が実務上、計算できる方法だ」と評価する声が出ている。国税庁は今後の議論を経て、2027年度の税制改正大綱への反映を進め、28年1月以降の相続からの適用を目指している。

中小企業の承継と税負担への影響

新ルール案を前提にすると、収益力が高く規模の大きい企業では株式評価額と相続税額が上がる見通しだ。一方で、規模の小さな中小・零細企業の株式を相続する場合は、負担が軽減される方向とみられている。

日本商工会議所は会議に提出した意見書で、新ルール案が採用されれば多くの中小企業の事業承継が崩壊すると批判している。これに対し、別の委員からは、相続税負担の問題は新ルールではなく事業承継税制で対応すべきだとの意見も出ているという。

資産税に詳しい税理士法人高野総合会計事務所の伊藤博昭税理士は、新ルール案では会社評価に必要な資料が少なくなり、これまで1〜2週間以上かかっていた計算が半日もかからず算出できるようになる可能性があるとみている。その一方で、大規模な会社では相続税評価額が2倍に膨らむケースも想定されるとしており、今後は事業承継税制の動向も焦点になりそうだ。

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