福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出は24日で開始から3年となるが、貯蔵量の減少は限定的にとどまっている。デブリ残存に伴って新たな処理水の発生が続いており、政府と東京電力ホールディングスが掲げる2051年の廃炉完了目標の実現性はなお見通しにくい。
ハイライト
- 東京電力HDの福島第一原発処理水は3年間で7%減にとどまり、2024年6月時点で約124万トンが残存。
- 2026年度から放出回数を年8回、放出量を年6万2400トンと13%増に引き上げる方針を明らかにした。
- 中国の水産物輸入停止など地域経済への影響が続き、賠償支払いは3年間で約1100件・総額967億円に達した。
処理水削減の進捗と放出計画
日本経済新聞によると、東京電力ホールディングスが公表したデータでは、残存する処理水は6日時点で約124万トンで、海洋放出開始から3年間で7%減にとどまる。この間に約17万トンを放出した一方、雨水や地下水の流入で約7万トンの処理水が新たに発生している。処理水は、汚染水からトリチウム以外の放射性物質を取り除いた水を指す。汚染水は、東日本大震災で損傷した建屋に流入した地下水などがデブリに触れることで生じ、トリチウムは水と同じ組成のため除去が難しいが、基準値以下であれば安全性に問題はないとされる。
国際原子力機関、IAEAは調査団を派遣して安全性を確認してきた。6月に来日したグロッシ事務局長は、国際的な安全基準にのっとって着実に進んでいると述べ、東電の小野明執行役副社長も7月の記者会見で海洋と海域のモニタリング結果に異常はないと強調した。
東電は放出ペースの引き上げに向け、26年度から放出回数を年8回に増やしている。放出量は年6万2400トンと前年度比13%増となる見込みで、測定用タンクへの移し替え作業や放射性物質の測定の効率化も進める。
廃炉工程と地域経済への影響
海洋放出の進展に伴い、放出開始時に1046基あったタンクのうち17基は解体を終え、さらに4基で解体作業が進んでいる。空いたスペースはデブリ回収に必要な施設用地として活用する計画だが、デブリ取り出しが計画通り進むかは不透明なままだ。東電は2025年に、3号機で2037年度以降に大規模取り出しを始める計画を公表している。ただ、筆頭株主の原子力損害賠償・廃炉等支援機構は工法の追加検討が必要として精査を続けており、回収時期が遅れれば汚染水の発生も長引く可能性がある。
地域経済への影響も続いている。中国は海洋放出開始に伴って福島県産を含む日本の水産物輸入を全面停止し、2025年6月に福島県などを除く37道府県からの輸入を再開したものの、2025年11月からは再び事実上の停止が続いている。
東電は、処理水放出で事業者などに被害が生じた場合は賠償する方針を示している。賠償に関する問い合わせは3年間で約3600件に上り、実際に支払った件数は約1100件、総額は967億円となっている。
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