日本の長期金利が30年ぶりの高水準に達するなかでも、株式市場ではAI・半導体関連を中心に上昇基調が続いている。こうした環境下では安全資産との比較で投資先の見極めが厳しくなり、個人投資家にも企業の稼ぐ力を精査する姿勢が一段と求められている。
ハイライト
- 日本の長期金利が3%前後でも株高の重荷にはなりにくく、投資家は高成長期待企業への資金配分を強めている。
- 長期金利3.5%前後が株価上昇の閾値となり、安全資産の利回り上昇により投資対象企業が厳選される可能性が高い。
- 今後は収益力やキャッシュフローなど企業の実力が一層重視され、個人投資家も長期視点で企業選別が求められる。
長期金利3%台で進む投資判断の変化
日本経済新聞によると、日経マネーの特集で、マネックス証券チーフ・ストラテジストで社会構想大学院大学特任教授の広木隆氏は、日本の長期金利が3%前後でも株高の重荷になる水準ではなく、むしろ投資家の資金配分の変化を映していると説明している。米長期金利が5%台にあるなかで、日本の金利水準は主要国・地域と比べてなお低く、インフレ率が2%で落ち着くなら長期金利3.5%程度までは正常な範囲との見方を示した。広木氏は、長期金利が3%を超える状況について、投資家が国債に資金を振り向けるだけでは満足せず、より高い成長が期待できる企業への投資を選び始めている証左だとみる。日本では社債市場の規模が小さく、企業への資金供給が株式市場に向かいやすい構造もあり、安全資産よりも事業成長を見込める企業に資本が集まっているという。
一方で、金利上昇と株高の共存には限界もある。広木氏は、安全資産の利回りが上がるほど、投資対象として魅力を保てる企業は絞られていき、弱い企業からふるい落とされると指摘する。その結果、株価全体の上昇はどこかで頭打ちになり得るとして、長期金利3.5%前後が一つの閾値になる可能性に言及した。
個人投資家に求められる企業の見極め
今後の市場では、グロース株かバリュー株か、あるいは大型株か中小型株かといった分類だけでは投資判断が難しくなる見通しだ。広木氏は、金利上昇局面で問われるのは企業の「素の実力」であり、収益力やキャッシュフロー創出力、将来の企業価値向上への確信がこれまで以上に重視されるとしている。理論上は、将来利益の比重が大きい成長企業ほど金利上昇の影響を受けやすいが、日本の金利はなお企業価値を大きく損なうほど高くないというのが同氏の見立てだ。むしろ投資家は、安全資産の利回りと企業の事業採算性を比べ、見通しの甘い事業には厳しい目を向けるようになる。インフレで投資コストも上がるため、企業側でも採算が合わない案件からの撤退判断が早まる可能性がある。
超低金利下では幅広い企業に資金が流れ込みやすかったが、引き締め局面では強いビジネスモデルと成長力を持つ企業への選別が進む。人口減少や人手不足を抱える日本では、資本だけでなく人的資本も不足しやすく、企業間の競争は一段と厳しくなる見通しだ。個人投資家にとっては、短期的な物色テーマにとどまらず、長期にわたり資本を託せる企業を選ぶ基本動作が、より重要になっている。
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